従前、NPO法人は、期末の資産の総額(純資産)に変更が生じている場合には、その変更の登記を申請しなければなりませんでした。
今般、貸借対照表の公告に関する規定(特定非営利活動法人法第28条の2)及び組合等登記令の一部を改正する政令(平成30年政令第270号)が施行され、平成30年10月1日以降は資産の総額の変更登記が不要となりました。
施行前は、上記貸借対照表の公告に関する規定に対応するため、定款の公告方法の定めの変更手続に追われた方も多かったのではないでしょうか。
では、登記が不要となる前の資産の総額の変更登記を怠っているとして、遡って変更登記の申請をする必要があるのでしょうか。
結論としては、登記事項そのものが無くなっているため、変更登記を申請することはできず(必要なし)、誤って申請したとしても、法務局から取下げを指示されることになるでしょう。
個人的に気になっているのが、上記登記が不要となる直前に怠っていた登記を申請したNPO法人と申請をしないまま登記不要となったNPO法人との間に登記懈怠の過料に処せられるか否かの点で差異が生じてくる可能性が高いことです。
個人的には、登記が必要であった時代においても、資産の総額に変更が生じた場合にのみ(但し、正常に活動しているNPO法人において、各期末の純資産に全く変動が生じないなどということは極めて稀な事だと思いますが・・・)変更登記を要するものであったことを考慮すれば、登記から離れて登記懈怠の事実を把握することは困難であり、後者のNPO法人は事実上お咎めなしとなる可能性が高いのではないかと考えています。